呪いだよ、と青年は言った。
これは血が続く限りの呪い。世界が続いて行く限りの呪い。
――愛の残り香。
『楽園の主は失われた。
されど、この地は守らねばならぬ。
姫君を失いし楽園の守護者よ。
その身をもって滅びを鎮め、
それゆえ、
この『楽園』から逃れることを禁ず』
愛していたよ、と青年は囁く。月夜に拾ったあどけない歌声のように。誰より孤独なきみのことを。きみの孤独を。あいしていたよ。きみがいなくなっても、まだ。ずっと、永遠に。だから。
呪いだよ、と青年は笑った。
かくして。『楽園』は閉ざされ。
呪いが巡る。